Story ストーリー

ビキニ冒険記

エピソード1:王様は世界を救う勇者に何もくれない

君はこの荘厳な城の最も厳粛な場所である「王の間」に通された。

この国を統べる王による直々の謁見を前にして君は緊張していた。

使者によれば世界を救うような探究の旅を命じられるということだ。

一介の冒険者に過ぎない君に、かつて偉大な勇者と呼ばれた母親の娘というだけで

大任をまかされようとしているのだ。

「勇者の娘よ、よく来た。今、世界は魔王の侵略により危機に瀕しておる。そなたはこれより仲間を集め、魔王を倒してまいれ。ゆけい、ファイターよ!
「光栄なる任務、勇者の娘として謹んでお受けいたします」
「うむ。以上じゃ、ゆけい!
「あの…」
「おう、そうであった。路銀を授ける。これで装備を整えるがよい。ゆけい!
「ありがとうございます。ところで、このお城には王家に伝わる伝説の魔法の武器と鎧があると聞き及んでおります。世界を救うためにその装備をお貸しいただけないでしょうか」
「あ~、あれな……いや、そんなものは記憶に無い!噂にすぎぬ!ゆけい、ファイターよ!
「しかし私はいま、装備すらもろくに持っていない有様でして…」
ゆけい、ファイターよ、ゆけい、ゆけい、ゆけい!
「わかりましたよ・・・あれ、この路銀の袋、いやに軽いですね。中身が金貨が12枚? 私はこれを毎日受け取れるということでしょうか?」
「いや、それが予算のすべてだ。」
「え~っと。陛下におかれましてはこの城下町の宿代が一泊いくらかご存知でしょうか?」
「大臣」
「金貨5枚が相場でございます。陛下」
「ご名答。ちなみにわたしの友人で酒場で皿洗いやってるやつがいるのですが、その日給が金貨6枚です。あの、もう一度確認しますけど。わたしの任務は魔王を倒すこと、世界を救う事、で、国家からの予算が金貨12枚ということで、間違いなかったですよね?」
「そのとおりじゃ、もういいかげんに、ゆけい、ファイターよ!!