君たちはお腹がすいていた魔法使いを助けた。
ちょうどパーティーに魔法の使い手を探していた君たちは、彼女を仲間に加えることにした。
「いや~、メイジのおかげで助かったよ。防御を上げる魔法で鎧も元通りになったし」
「い、いえ、こちらこそ…。わ、わたくしでよければ、お供させてください~」
「さあ、これで最低限の冒険者パーティーとなりましたので、近くの魔物を退治して路銀を稼ぎましょう」
「それは決まってますわ。魔物が持っている金を奪うのです」
「それって強盗じゃないの!? 聖騎士、そんなんでいいの!? そもそも人間の通貨をどうして魔物が持ってるの?」
「細かいことを気にする必要はありません。魔物はキラキラしたものが好きとか、そんな感じではないでしょうか。」
「うわ気持ち悪い。なんなんだ、あのドロドロなやつは」
「スライムという下等な魔物ですわ。まあ楽勝な相手ですね」
「スライムというのは魔物の中でも一番弱いと聞いております」
「そんな弱いんだったら殺さなくてもいいんじゃ……」
「何を言うのです。国家のため。路銀のためですわ。」
「そうだ、わたしの初めての戦いだ、いくぞーーー!!」
「いやぁぁぁ。たすけてぇぇ。服溶けるのはもういやぁぁ」
「あぁぁぁん、だめですわぁぁぁ、穢されてしまいますぅぅぅ」
「魔法も効かないし、剣も効かないなんて、めちゃくちゃ強いじゃないですかぁぁ。いやぁぁぁぁ!」
「そんな一番弱い奴に殺されそうになってるやつに魔王退治という国家レベルの任務をまかす王様、大丈夫なの? 正直心折れそうなんだけど・・・」
「気を落とさないでください。幸いダンジョンの宝箱で金貨は手に入れました。これで装備を整えれば強くなれますわ」
「あの~、そもそもこの使命って期限はいつまでなんですか」
「そういえば、いつまでに倒せとは言われてなかったな」
「(これだからお役所は…。民間に期限のない仕事なんてありえませんよ)」
「そもそも魔王の侵略とかそういうやつって具体的にはどのくらい進行してるものなの?街が落とされてたりとかあるのか?」
「なんだそりゃ。実害のない魔王を倒す意味があるのかなぁ・・・」
「きっと上層部は我々の知らない情報を持っているのでしょう。私たちは今やれることをやるだけですわ」
「(ひょっとしてこの使命にはもっと大きな秘密があるのかもしれないです・・・)」