Story ストーリー

ビキニ冒険記

エピソード2:高貴なる聖騎士

王に世界を救う使命を言い渡された君は、憤慨していた。
世界を救う使命に対する予算が皿洗いのバイト2日分の日当相当とは!
とにかく引き受けてしまった君だったが、
途方にくれたまま城内をうろつくことにした。

「やれやれ、こんな立派な城なのにお金も宝もないのかねぇ。ほら、お城の騎士は立派な恰好してるじゃないの。あの、すみません」
「ここは王の城よ」
「いや、さすがに知ってますよ。実はこれから世界を救う戦いに赴くのですが、あいにく装備も金もありません。その立派な盾をお貸し願えないでしょうか?」
「お断りするわ。この盾は聖騎士の誇り。王をお守りするための盾なのよ」
「そこをなんとか。固いこと言わずに。貸してくれたら美味しいアップルパイをご馳走しますよ」
「聖騎士は戒律を守り、王と弱き者のためだけに戦います。常に己を律し、誘惑に屈することはありません(じろじろとファイターの身体を横目で見る)」
「お願いします、土下座します、この通り!」
「(息を少し荒げながら)聖騎士は戒律を守り、王と弱き者のためだけに戦います。はぁはぁ、常に…己を律しぃ…淫猥な肉体の誘惑に…屈することはぁ…」
「(壁ドンして顔を近づける)こんなにお願いしてもダメなんですか!!」
「(頬が紅潮)はぁぁ・・・聖騎士たるものぉ…王と弱き者のためだけに…あぁ、何をするのですか」
「すみません、つい興奮してしまって。非礼をお詫びいたします。それでは、失礼いたします」
「ま、待って!」
「はい?」
「この盾はお貸しできませんが、私があなたの盾になりましょう」
「(うるうる)パ、パラディン殿・・・! 嬉しいです、こちらこそよろしくお願いします!」
「ただし、わたしは聖騎士の誓いに従い、善を助け、悪をくじく存在です。ファイター殿も己を律し、誘惑に屈することなく任務に赴くことご承知願いたい」
「(う~ん、なんか堅そうな人だなぁ。まあ、仕方ないか。助けてくれるだけでもありがたいし、わたしもまあどっちかといえば悪い奴は許せない方だし…)はい!共に悪をやっつけましょう!」
「それでは、さっそく湯浴みをしてお互いの体を清めあいましょう」
「ふ、風呂ですか?? あぁ~、でもさっき入ったばっかりでして」
「では、安宿にてともに語り合いましょう。どのようにしても二人が寝ようとすると肌が触れ合ってしまうような狭くみすぼらしい部屋の中、むせかえるような熱い空気の中で二人の心の距離もいやがおうにも近づいていくことでしょう。そして、いつしか二人は…」
「パ、パラディン殿?」
「ファイターは野獣と化し、高貴な生まれの獲物に襲い掛かることでしょう。抵抗などもはや無意味。それは悟った高貴なる騎士の心はいつしか…」
「おーい、大丈夫かぁ」
「はっ! いけないけない、わたくしとしたことが。では、ともに行きましょう。世界を救う旅へ!」
「(大丈夫なのかな、この人)」